"どこからそういう話になったのか忘れたが、ジョンはギターを黒くしたがってたので、僕がそれをスプレー塗装してあげようかと申し出た。僕はバーケンヘッドで肉運搬業を営む父と仕事をしていて、多くのトラックを持っていた。だから父のワゴンを塗装したことのあるチャールズ・バンタムにそのギターの塗装を頼んだんだ。彼のリッケンバッカーは天然木目仕上げの透明塗装で、金色のコントロールパネル部が独立していた。それをジョンに返す時、僕はコントロールパネルを間違って取り付けたので、彼は少し騒いだ。でもジョンは払ってくれてないんだ。それは好意でやったことなので払ってくれなくて良かったんだけどね。バンタムは完全主義者だった。彼はテカロイドの自動車用黒塗料を使い、バーケンヘッドの彼のガレージで作業した。塗料が乾くのに3日かかった。"
クリス・ホートン 談 『ザビートルズギア』より...
10月12日のライブ
*Little Richardがヘッドライナーでした。ではこの黒くなった325での初登壇だったそうなのでリフィニッシュ作業は恐らく、9月の中〜後半から10月のごく初旬の事だったのであろう。
そう考えれば、GIBSONのJ160Eを用いたものを除けばデビューシングル"Love Me Do/PS I Love You"以外の初期録音はこの
テカロイド塗装の施された325 V81の音こそがBEATLESのリズムギターサウンドである!
..と言い切れるであろう。
リフィニッシュに関すれば当然、ギターのオリジナル性に於いてはマイナス要素(価値を損なう)と相成る事は重々承知している。そして音色に影響を及ぼす事も自身、入手時は無残にもボディが割れ白色だった'66年製の325を東京のWITHさんでリペア/リフィニッシュして頂いた時には大いに感じたものだ。ある程度は覚悟していたものの、其れ以上に上がった直後のボディ生鳴りそして電気を通した時のあの独特のサスティンも無残にも失われ『あぁ..』と思ったものだが、不思議な事に数ヶ月を経た頃から乾燥し馴染んだのか徐々に響きを取り戻しやがてまったく違和感を覚えない域まで...な経験もある。
ま
"こじつけ"的に考えればこの黒くリフィニッシュされたV102だって前々オーナーさんご入手時の元の状態/コンディション
*Vintage Rickenbacker Guitarsさんの頁で初めてその姿を拝んだ。...しかしよくよく白にリフされたギターにご縁がある様だ^^;を鑑みれば必然であって、本家ジョンもそうして...ましてや自動車用の塗料だった訳ですから当初は相当音色が変わってしまった事は想像に難くなく、しかもトレモロを除けばパーツ類が行き当たりバッタリ的だったのと同様、"黒"という色には拘ったが余りそんな事には無頓着な若気のナントカ以外ナニモノでもなかったのでしょう
^^;
しかし紛れもなくこのテカロイドの乗った325の奏でた音こそが"All My Loving"はじめ、あの数々の溌剌とした初期BEATLESのギターサウンドを印象付けた事を鑑みれば、それもまた一興であると自分を納得させる=
"こじつけ"なのであります(笑)
つづく。。。